雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

12月15日 「最後に何か言っておきたいことはありますか?」

2022.12.15

 刑事事件の公判期日をを二日間で4件こなした。いずれの事件も自白事件で1回の期日で終結のものばかりだった。そんなにたくさん抱えてはまともな仕事ができないのではと都会の弁護士から思われるかもしれない。しかし、国選弁護の担い手もここに来て少なくなってきているのである。弁護報酬とも関連するのかもしれないが。
 ところで、4つも連続していると、普段気づきもしないところに気づくことがある。
 例えば、被告人の最終陳述だ。
 裁判官が、検察官の論告求刑と弁護人の弁論を聞いた後に、被告人に対して「最後に何か言っておきたいことはありますか?」と聞く。被告人はこれに対して意見を述べることができる。法律用語で被告人の最終陳述である。
 何を言ってもいいのだが、いくつかタイプがあることに気づいた。
 1 あっさり型:「何もありません」
 2 謝罪型:「被害者には申し訳ないことをしてしまいました。二度と今回のようなことはいたしません。」
 3 弁解型:「私がこうしたことには、これこれこういう理由があったのです」
 4 決意強調型「私は、今後こういうことをしていきたいと思う」
 みんな少しでも責任を軽くしてもらいたい。必死である。
 今回、地元の仕事上の仲間に意地悪をしてそれが刑事事件になってしまった被告人がいた。この人は何を言ったかというと、「私は〇〇に悪いことをしてしまった。これは反省している。だけど、〇〇がしっかりと仲間と仕事をしてくれるのであれば、今後は協力していきたい気持ちはある」と言っていた。あっさりでもなく、謝罪でもなく、被害者との関係の修復を試みたいという決意表明であり、実際は難しい事柄なんだけれど、あまり聞いたこともない言葉だったので、聞いていてすがすがしさを覚えた。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事