雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

12月16日 1億1000万円を支払ってまで隠したいものは何?

2021.12.16

 森友学園への国有地売却に係る公文書の改ざんを強要されて自死した財務局の赤木俊夫さんの妻雅子さんが国を訴えた訴訟が、国による請求認諾で終わってしまいました。
 民事訴訟というのは、原告が提起した請求の趣旨が認められるかどうかを証拠調べによって確定する手続きです。したがって、その原告の請求の趣旨を被告がすべて認めてしまえば(これを「請求の認諾」といいます)、訴訟の目的が達成されたことになり、主張や証拠調べをすることもなく訴訟は終了してしまうのです。
 雅子さんが訴訟提起をしたのは、訴訟の証人尋問などの証拠調べ(を通じて、なぜ夫の俊夫さんが自死を選択せざるを得なかったのが明らかになるということを期待していたからです。国の請求認諾で、この訴訟での真相解明は期待できなくなってしまいました。
 国が国家賠償で相手の請求をそのまま認めてしまうことは通常ではありえません。賠償金の財源は税金です。徹底的に争うのが普通です。こんなことをすれば国民から批判されることは当然予想されるでしょう。批判を受けてでも隠したかったことがあったのでしょうか?

 

馬場秀幸  カテゴリー:その他