雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

3月16日 ロシアのウクライナ侵攻から考える② 実際のところ、憲法9条はどうなんだ?

2022.03.16

 じゃあ、憲法9条があれば戦争になることはないのか?
 「そんなことはない。憲法9条で日本の武力行使は禁じられていても、他国が攻め込むことは考えられる。そうした場合に日本が自衛権を行使すれば戦争は起こる。だったら、憲法9条なんて無意味ではないか?」と突っ込まれるだろう。
 前半の9条があっても戦争は起こる。たしかにそうかもしれない。
 だから、後半の「憲法9条は無意味」なのか?私はそのようには思えない。
 今回のように、戦争は他国から仕掛けられる可能性がある⇒防衛力を増強しなければならない、と考える。しかし、この増強というのがいったいどの程度までなのか際限がつかない。最近の論者は、例えば、防衛費はGDPの2%程度は必要という。そうすると、予算のうちの10兆円(今までは5兆円)。残りの5兆円はどこから引っ張ってくるのか?全体の予算額はそのままとなれば必然的に民生費を圧迫する。国債で賄うということであれば、また借金かよということだ。とにかくどこにそんなお金があるのだろうか?敵基地攻撃能力を備えろという人がいる。これは戦争の先制攻撃と紙一重である。今回のウクライナ侵攻も自衛権の発動としてウクライナ政権を倒す名目で行われた言わばやられる前に攻撃するということでやってきた。イラク戦争の大量破壊兵器を隠し持っているという理由での戦争も、敵基地攻撃みたいなもんだ。
 核共有って何なんだ。核をもったところで、相手がその能力を上回る核をもてば、さらにその上を準備しなけれがならない。軍拡競争が際限なく行われる。軍備にばかり金をかけたのではやがては国民の生活が圧迫され、国家の破綻の危機を招く。
 防衛のための装備を備えるにしても、限度はやっぱり必要である。そのためには軍拡を食い止める歯止めの理屈が必要である。それは憲法9条しかない。憲法9条がなければ、軍拡は糸のキレたタコになり、やりたい放題になる危険があるだろう。そういう意味では憲法9条はどうしても必要だと私は思う。

馬場秀幸  カテゴリー:その他