雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

4月13日 少年の顔写真報道「新潟日報さん やりすぎではないですか?」

2022.04.13

 甲府地検は、4月8日、昨年10月に50代夫婦を殺害し、その自宅を全焼させた19歳の被告少年を殺人、現住建造物放火罪などで起訴し、その氏名を公表した。新聞各社も実名報道に踏み切ったが、新潟日報は4月9日の一面で少年の氏名を公表し、少年の顔写真まで掲載した。私は、この記事を「見て」違和感をもった。「顔まで晒す必要あるのかね?」
 少年法は、これまでは犯罪をめぐる20歳未満の少年をの実名や顔写真の報道を禁じてきた(少年法61条)。しかし、今回の少年法改正で、18,19歳が「特定少年」と規定され、実名報道が可能になった(同68条)。
 たしかに事件の内容は深刻だ。少年は、知り合いだった女子高生の自宅に進入し、同女の両親を殺害し、自宅を全焼させた。女子高生への逆恨みが犯行動機だったという。たしかに事件の内実や骨格を知って理由や背景を知るためには、少年の個人的な情報まで書かざるを得ない場合があることは理解できなくはない。
 しかし、顔まで晒す必要あるんだろうか?事件の本質の解明ということなら、少年がどこそこで生まれ育ち、どういう家庭や学校、地域で生活をしてきたかなどを考えれば十分ではないか?そこに正念の顔立ちは必要ない。
 顔までさらけ出させるのは、この国が江戸時代に行っていた罪人の市中引き回しと同じではないか?「今は町奉行ではなくメデイアが、その役割を果たしている」(新潟日報2021。1。9森達也「実名報道 社会でもっと悩むべき」)。どういう人相だったの、公の目に晒して悪い奴を徹底的に追い込んで再起不能にさせる。でも、これって報道機関の仕事なのだろうか?(下記の写真の目隠しは、馬場がしました)
 もう一度言いたい。少年の顔をさらす必要あるんだろうか。新潟日報やりすぎではないか?

馬場秀幸  カテゴリー:その他