雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

5月23日 リコール運動をめぐる署名偽造事件 責任者の無責任な態度にひたすらあきれる

2021.05.23

 地方の首長に対する解職請求は、一人の住民にとっては政治的な意見を直接表明するものです。しかも数が多数集まれば首長を解職させることもできるのです。住民が直接に政治に参加するもので極めて重要な権利といえます。
 今回の愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動。署名偽造は、不正な手段で一人一人の参政権をかすめ取り、民主主義制度を傷つけたといえます。愛知県警が事務局長を地方自治法違反で逮捕したことは当然の措置であり、捜査機関は徹底的な真相解明をする必要があります。
 しかしながら、この期に及んで責任者らの逃げっぷりには正直あきれるばかりです。河村たかし名古屋市長は、事務局長が逮捕されたことで、これで自分が関係なかったことが立証できるなどと言っているようです。リコール運動の代表を務めた高須克弥医師は、河村たかしと縁を切ったとはいうものの、自分の秘書が署名偽造の現場で指印をしていたことについては、自分は何も知らない、関係ない、と言っている。彼らは、実質的にリコール運動の顔になっていた。署名偽造に対して民主主義の制度を傷つけて申し訳なかったとか、自分で真相解明をするとかの責任をとってしかるべきであろうと思う。
 上に立つリーダーというのは、こういう責任逃れしかできないものかと思うと、本当にガッカリする。たしかに、日本の政治家は、汚職事件が発覚すると秘書がしたことと秘書に責任転嫁をして切り抜けてきた。河井案里夫妻の選挙買収事件も、二階自民党幹事長は、その資金源が自民党であったにもかかわらず、「他山の石」と他人事のように語っていた。真面目な反省の言葉を期待するほうがおかしいのかもしれない。しかし、これで日本はまともな方向に進んでいくとは到底思えない。

馬場秀幸  カテゴリー:その他