雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

5月5日 弁護士の存在意義って何だろう?

2022.05.05

 「裁判所から「支払督促」が届いた。中身がよくわからないので裁判所に聞きに行ったら、貸金業者が私に貸金150万円の返還を求めている、ということだった。しかし、その貸金業者に聞き覚えはない。そこの連絡先に電話したら、〇〇〇ファイナンスから債権譲渡を受けたのだという。〇〇〇ファイナンスは、たしかに私が十数年前に生活に困って借りた業者だった。借りた後支払をしていたが、1年後に〇〇〇ファイナンスは店を閉めてどこに支払いをしていいかわからず今日まで支払をしてこなかった。今でもお金の支払をしなければならないのだろうか?」
 60代の女性から相談を受けた。生活状況を聞くと、返済など到底できる状態ではない。時効消滅を主張すれば、簡単に終了できる案件だ。しかし、その女性には「支払督促」「債権譲渡」「債権回収会社」の正確な意味なんてわかるわけもない。わからないままに放置していたり、或いは答弁書に債権の存在を認めて支払しますなんて記載して回答してしまえば手遅れになる。手遅れにならないうちに相談に来てくれてよかった。
 法の下の平等っていう言葉がある。法は誰にでも等しく適用されるということだ。しかし、現実の世界では法律を知らない人は知っている人よりも不利益を被ることがある。今日の事例でもそうだ。法律を知っていれば時効を主張すればよい。しかし、知らない人は、「借金は支払をしなければならない」と思い込んだり、専門家に相談してみようという気持ちにならないままに相手の要求に応ずることもあるだろう。
 こういう知識や情報を持ち合わせていない人を助けるために、弁護士という在野の実務家の存在意義はある。そういうことをあらためて思った。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事