雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

5月7日 遺産を渡す側からの「もめない遺産相続」のコツとは何だろうか?

2020.05.07

 やがては自分もいなくなるが、遺産相続でもめないコツを教えてほしい。
 こういう相談は多いですよね。
 私は二つ指摘しています。
 一つ目。相続人間でもめそうなほどの資産があるのであれば、死亡するまでに全部使いきったらいかがでしょうか?相続人は争いのネタがなくなるんだから、もめることなどありえませんよ。
 二つ目。遺言書を書きたいと思っているかもしれませんが、それは最後の手段です。死ぬ前に相続人たち全員呼んで「オレはこうやって平等に配分するからオレの死後もめるんじゃないぞ」とクギをさしておく儀式をしたらどうでしょう?その方が、遺言書を書くよりいいかもしれませんね。
 これについては補足。遺言書というのは、死後の相続人間の紛争を解決する目的だといろんな本で説明されている。しかし、分配が不公平であれば当然に不満が発生するし、仮に公平であったとしても、なんで「遺言なんて水臭い」ことをするんだということになる。こういう場合、被相続人と親しい立場にいた相続人が「おまえが書かせたんだろう」みたいなことを言われて不快な思いをする。紛争解決の目的が実は紛争を発生させてこじらせることになるから、皮肉な話なのだ。
 遺言を書いても、効果が発生したときにその書いた人がいないのだから、当然なんだけれど。
 なので、もめたくないのであれば、みんな集めて自分の意思を明確に伝えればいいではないかということになる。それでももめたらどうします?なんて言われるかもしれないが、それはもうアナタが原因ではないのだから仕方ないのでは。そもそも、被相続人と相続人たちとは別の生命体なので「もめるな」と言っても制御なんて最初からできるわけではないんでね。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事