遠出はできないかもしれない。お金はないかもしれない。そうだとしても、近場くらいなら旅行できるでしょ。日帰りでもいい。お金がないなら、日帰り「遠足」でもいい。子どもには時間はまだ十分あるはず。せめて一日、非日常的なことしてあげませんか？コロな禍でも近場だったら、行くなとはさすがに周りも言わないでしょ？私でよければ近場でいいところ紹介しますよ！
　司法修習生のとき、少年審判を傍聴しました。１０代の女の子。家出を何度も繰り返し、親からも学校の先生からも面倒みれないって言われてしまっていた女の子でした。審判で厳しいことを言われても表情一つ変えなかった。ただ、最後に調査官が「今までに一番楽しかったことって何だったの？」と質問したところ、思い出したように「家族で行った旅行･･･｡」と言い出してその場で泣き崩れてしまった。たまにその時のことを思い出します。
　借金苦で自殺を考えた依頼者もいました。死のうと思ったけれど死にきれない。それで、子どもの頃に家族で旅行に行った富山の温泉にもう一度行ってから死のうと考えた、行ってみたが死にきれず、妹に電話して死ぬのを思い直した、ということもありました。今はどうしているんだろう？
　そんな話を聞けば、家族っていいよな、夏だったら旅行だよな、一日すべて忘れて楽しもうよ、その楽しい思い出がやがては生きる支えになってくれるから、と思うのです。