雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

7月8日 是枝裕和の映画『そして父になる』を観る

2022.07.08

 今年の1月にフジテレビで放映された際に録画したものを家で観ました。
 親子の関係。血が大事なのか?それとも親子としての実質的な生活さえあれば血は大事ではないのか?そんなことを問いかけてくれた映画です。
 親が誰かを決めることは、法律でもすご~く重要で難しい問題を抱えています。例えば、嫡出子否認の制限。民法は、法律上の夫婦の間に生まれた子を嫡出子としていますが、実は夫の子でないということを夫が知っても、知ってから1年以内に訴えを提起しないと、親子関係はその後に否定することはできません(法改正によりこの制限は緩くはなるようですが)。親子関係を早期に確定させることが子の利益と考えられているからです。しかし、最近ではDNA鑑定により鑑定に生物学上の親子関係がわかります。生物学上は血の繋がっていないのにそれを親子と言えるのかどうか。親子関係を否定する可能性があったほうがいいのかどうか悩ましい問題です。
 映画は、特定のメッセージを発していませんが、血という絆にこだわろうとする父親の悩みを描きます。悩むエリートサラリーマンの福山に対して田舎の電気屋のリリーフランキの対照的な演技がそれを際立たせる。最後、福山が、子を追いかけ、逃げようとする子の脇で歩きくシーンが泣けてきます。親は子を育てながら、子に学ばせられている。
 福山もいい、リリーフランキーもいい。小野も真木もいい演技でした。

 

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画