雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

8月16日 仲野太賀の『拾われた男』第8回 夫婦の立場が逆転する日

2022.08.16

 アメリカで諭(仲野太賀)の兄・武志(草彅剛)が脳卒中で倒れた。諭はアメリカに行き、諭の友人たちに会い、今まで知らなかった武志の一面を知る。一方、諭の実家では、武志の帰郷を巡り、父・平造(風間杜夫)と母・きく(石野真子)が大喧嘩をする。きくは、武志を引き取るというが、平造は「そんなおっさん(武志のこと)、知らん」という。この言葉にきくが激高する。きくは、平造が自分勝手でわがままで気に入らないことがあれば好きに暴れる、後始末をするのは妻の私、あなたが原因で諭も剛志も家を出て行ったんだ、と平造を責めて、平造の仕事道具を部屋中にまき散らす。「片付けろ」という平造に、きくは「おまえがしろや」と言い放つ。夫婦の立場が逆転した瞬間だ。
 これですべて吹っ切れたのか、きくは、その後、東京の諭の自宅を訪れて「自分は今まで父ちゃんと剛志と諭のためだけに生活をしてきた」「これからは、武志を引き取って面倒をみる、これが私の『終活』だ」と晴々とした顔で言って、東京を去る。他方、父の平造はきくと入れ違いで訪れて、諭と二人で食事をしながら、初めて弱気な姿を諭にみせる。
 こんな体験、どの夫婦でもしたことがあるんじゃないか?笑いたくても笑えない。真剣にドラマに見入ってしまっていた。でも、こうやって言いたくても言えない女性(或いは男性もそうかもしれない)いっぱいいるんじゃないか?そう思うと切ない気持ちにもなる。いいドラマだなあ。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画