雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

9月19日 高田世界館で「17歳の瞳に映る世界」を観る

2021.09.19

 アメリカのペンシルバニア州に住む17歳の女性オータムが主人公。
 オータムは、体の異変に気付きクリニックで受診したところ妊娠していることがわかった。しかし、ペンシルバニア州では未成年者が中絶するには親の同意が必要だった。親に言えないオータムは、ニューヨークに行って中絶手術を受けようと考えた。いとこで友人のスカイラーに事情を話し、オータムとスカイラーのニューヨークまでの旅が始まった。
 物語はとんでもなく暗いけれど、主人公のオータムと彼女をずうっとアシストする友人のスカイラーとの友情が希望の光だ。
 映画の原題は「Never Rarely Sometimes Always」。ニューヨークの診療所で女性カウンセラーが妊娠したオータムに質問する。そこで、質問に対する回答としてオータムに用意されたのが4択の「Never Rarely Sometimes Always」(1度もない、めったにない、時々、いつも)。
 カウンセラーは、質問をしながら妊娠の背景にある本質に迫っていく。「誰かに脅かされたことはある?Never Rarely Sometimes Always」「暴力を振るわれたことはある?Never Rarely Sometimes Always」「無理やり性行為をされたことはある?Never Rarely Sometimes Always」今まで淡々としていたオータムが回答を重ねるうちに詰まり始める。どうして妊娠してしまったのかは映像では説明されていないが、このカウンセラーとの問答が、オータムに辛い事実があったんだろうなと観客に想像させてくれる。映画の一番の迫真の場面である。
 結局は、ハイテイーンの友情を主題にした物語だが、アメリカ社会の深刻な実情などを教えてくれる貴重な映画でもある。まだ高田世界館で上映中!

 

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画