雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

9月3日 中村倫也の『石子と羽男-そんなコトで訴えます?』を観る パラリーガルって何だ?

2022.09.03

 ウィキペディアによればパラリーガルの定義は下記のとおり。
「弁護士の監督の下で定型的・限定的な法律業務を遂行することによって弁護士の業務を補助する者」
「元はアメリカにおいて生じた、弁護士の資格は有さないが単なる事務作業を超える専門的業務に携わる法律事務所のスタッフである。アメリカにおける大規模法律事務所の専門化、細分化の進展に伴い、補助スタッフにも高度な専門性が求められるようになったことで発達した。その仕事が誕生した米国では、今や大学等が養成課程を用意するほどメジャーな職業になっている。」
 
 ただし、日本の場合はアメリカとは大分違う。大規模事務所や渉外法律事務所はわからないが、一般のマチ弁事務所では、事務所職員が電話受付、顧客へのお茶出しなどの雑務だけではなく弁護士の業務を補助することまでしていることが多く、その意味では事務員でもありパラリーガルでもある。
 ひと昔前であれば、マチ弁事務所でも、利息制限法に基づいて元本充当計算をエクセルを用いてする業務は職員がしていた。今でも、相続事件などで相続人を確定する作業は職員が手際よくやってくれている。そういう意味ではパラリーガルである。
 ただ、その補助職は法律的に認められたものではないから、スキルがあっても公的に制度化されたものではなく、あくまで弁護士のアシスタント的立場にすぎない。だから、羽男は法廷の当事者席に座ることはできるが、石子はできない。破産の審尋でも、石子は立ち会うことはできない。日本でも、事務職員にある程度の権限を認めてもいいのではないかと思う。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画