雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

 事業者という名前の労働者

2019.06.09

 宅急便の運送業務をしている人からの相談を受けた。
 おかしいと思ったのは、彼に仕事を与える業者と彼との契約が、雇用契約ではなく業務委託契約ということだった。
 雇用契約であれば、労働時間が規制され、法定労働時間を超えると時間外労働になる。彼はあくまで労働基準法上の保護を受けることになる。
 しかし、業務委託契約だと、事業者になる。業務に応じて対価が支払われる。労働時間の規制がない。彼によれば、朝は6時から午後10時まで働かさせる。休日は週1回。真面目に計算すればアルバイト並もしかしたら最低賃金以下の時間給の支払いしかなっていないらしい。
 聞けば、事業者であることは形だけ。彼に仕事を与える取引相手は、業務委託契約をした一社だけ。朝から夜まで、そして週6日間事実上拘束されている。自営業者ならあるはずの休む自由もない。あるのは、いつでも契約を解約できる自由だけである。ただし、それも今辞められたら損害賠償請求するぞと脅されているとのことだ。事実上丸裸の奴隷労働になっている。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事

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