雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

望月衣塑子『新聞記者』(角川新書)を読む。

2019.07.18

 2018年6月8日、望月記者にとっては2度目の官邸での質問だった。
この日、望月が文部科学省の総理のご意向文書の信憑性について何度質問しても、菅官房長官は木で鼻をくくった回答を繰り返すばかりだった。
望月「きちんと回答をいただけていると思わないので、繰り返し聞いています。すみません、東京新聞の望月です。つまり、どなたかの告発で出所が明らかになっても、いまのご回答だと、政府としてそれを真摯に汲んで調べるかどうかは回答保留ということでしょうか。回答できない、というご回答ですね。」
菅 「ですから、仮定の話に答える立場にはありません。いずれにしろ、その時点で文部科学省において考えられる、こういうふうに思います」
記者会見は37分を越えていた。望月の質問回数は23回に及んだ。望月だけが記者会見場の空気を壊して終わったかのように思えたが、そうではなかった。この日、菅は通常であればその後番記者に囲まれてするオフレコ会見をせず、そそくさとその場を後にした。そして行った先は官房長官室ではなく、総理執務室だった。
そして、その翌日、松野博一文部科学大臣が、異例の発表をする。文部科学省の文書について「国民の声に真摯に向き合い、改めて徹底した追加調査を行って参りたい」と発表した。官邸の情報隠しの厚い壁に望月記者の質問で穴をこじ開けることができたのだ。
 国民の多くは望月記者の姿勢に拍手喝采を送った。6月8日からの約1週間で約50部の東京新聞の新規購読の申込があった。また、激励の電話も数多く寄せられた。しかし、いいことばかりではない。なんと仲間の記者たちからのクレームが上がってきたというのである(この項続く)。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍

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