1月27日 少年法の対象年齢引き下げは見送られることに。
「政府・与党は、少年法の対象年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げる同法改正案の提出を見送る方向になった」(朝日新聞2020年1月27日)
成人の場合、捜査された事件は検察に送致され、検察が処分を決める。これに対して、未成年の場合は少年法が適用され、捜査された事件はすべての事件が家裁に送致される。家裁は、少年の更生の観点から本人の性格や生い立ち、家庭環境も含めて原因を調べ必要な処分を決めることされている。
今回の改正の理由は、成人年齢が引き下げられるからそれと統一すること、それから、未成年者の凶悪犯罪の厳罰主義化、などであった。改正やむなしと思われていたが、昨年秋より少年院の元院長、家裁の元調査官らが次々と引き下げ反対を表明した。この反対の流れに公明党も加わり、改正についての与党内の調整ができないことになり、見送りが決定的になった。
少年法の本質は、少年の「可塑性」を重視したことにある。可塑性とは、少年は外部からの働きかけでその人格が柔軟に変化する可能性があるということだ。素晴らしい理念だと思う。理念ばかりではない。この理念に基づいて、家裁の現場の調査官たちはこの理念の実践に努めている。
仮に対象年齢が引き下げられれば、18歳や19歳で犯罪を犯した人たちは、20歳以上の人たちと同様に刑事手続きに乗っかって裁きを受けることになる。
どこが違うのかと問われたら、更生への働きかけの機会がなくなってしまうということに尽きる。それがいいのか悪いのか。人間は環境に影響されるという前提に立てば、環境を変える働きかけで人間も変わるし、再犯も防げるということになる。改正はしばらく遠のいた。どちらがいいのかゆっくり考えてみてほしい。