10月8日 雨宮処凛の『「生きづらさ」を生きる』
新潟日報の連載コラム、雨宮処凛の『「生きづらさ」を生きる』をたまに読みます。10月4日の記事のテーマは『2人の祖母』でした。
父方の祖母と母方の祖母、その二人のいずれもを、彼女は幼い頃から好きだった、「学校で存在を否定されるくらいのいじを受けていても、親に最悪の問題児扱いされても、祖母はどちらも私が幼い頃と同じように扱ってくれて、そのことにどれほど救われただろう」と言っています。
これを読んで、夏目漱石の『坊っちゃん』に出てくる「清さん」のことを思いました。
清さんは、坊っちゃんの家にお仕えしていた女中さん。坊っちゃんが、自分の父親と喧嘩をしてもあなたはまっすぐな性格だから、と受け止めてくれる。
坊っちゃんが、東京を離れて松山に行って教師になる。清に手紙を書いたら、清から手紙が届いた。
要約すると、「坊っちゃん、あなたは竹を割ったような性格で癇癪も強くてとても心配だ、他人にあだ名をつけたら恨まれるもとになるから、清だけに教えるようにしてください。世間には悪い人がたくさんいる。気をつけてひどい目に合わないように。また早くお会いできる日を楽しみにしてます」とこんな調子です。
自分のいいところも悪いところも全部受けとめてくれる人。清みたいな人が一人でもいてくれると、生きづらくても生きられる。