雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

解散権の濫用

2019.05.17

 議会の解散は、すべての議員の身分を一方的に喪失させるものです。
内閣に自由に衆議院の解散権が認められるという考えは、正直大きな誤解です。総選挙を1回するとその費用だけで数百億円になると言われています。しかも各議員は国民が自らの意思で選んだ代表です。任期を全うしてもらうのが道理というものです。
したがって、仮に解散が認められるとしても、国民に信を問う政治的な課題がある場合などの大義が必要であると憲法学では説明されています。つまり、解散が自由にできるというのは間違いで大義がある場合にのみできるというのが、憲法学上の通説です。
しかし、どうみても今回の解散論議に、大義など微塵も感じられない。北方領土?北朝鮮?消費税?憲法改正?大義がどんどん変遷してますよね。しかも、憲法改正するんだったら国民投票で信を問えばいいじゃないですか?野党の内閣不信任案提出が大義になる?何で?理解不能ですよ。憲法上は内閣不信任案が「可決」された場合に、それに対抗するために解散権があるとされているにすぎません。今は安倍政権が3分の2以上の議席を持っている。野党の不信任案に対しては堂々と「否決」すればいいだけの話ではないですか?
結局、解散総選挙の大義がどう考えても後付けです。政権の延命が目的でしかない。今回衆議院を解散するとしたら、6年余の安倍政権でもう3回目。本来は衆議院議員の任期は4年なのに2年に1回は失職させられて総選挙をしていることになる。どう考えても解散権の濫用です。

馬場秀幸  カテゴリー:その他

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