雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

1月15日 ゴーン被告人の逃亡で面目がつぶれたのは、弁護人それとも裁判所?

2020.01.15

 今日は事務所の仲間で勉強会をした。ゴーン被告人の逃亡が話題になった。みんなに感想を聞いた。
 その中に「弁護人は被告人を信じて活動していたわけだから、ゴーンに裏切られてかわいそうだ」という感想があった。さすが、弁護士事務所の職員だ。
でも、意気消沈したのは、弁護人だったのだろうか。ボクは保釈の決定をした裁判官だったと思う。
 ゴーン被告側は、保釈申請をしても裁判所がそれを認めないので、最後には裁判所に対して「海外逃走防止のための器具(GPS)を体に装着する」と表明をした。
しかし、裁判所が保釈決定をした際の保釈条件には、「逃げ隠れしたり、証拠隠滅と思われる行為をしてはならない」「海外渡航をしてはならない」という抽象的な禁止条項があるのみでGPS装着までは義務付けていなかった。
 保釈条件には、玄関に監視カメラを設置することの要求もしていたが、これは常時監視するものではなく、1か月分の録画データを翌月に裁判所に提出させるというものだった。
 こういう内容をみると、保釈をした裁判官は証拠隠滅の防止を考えていて、まさかゴーン被告人が逃亡することなど考えていいなかったとしか思えない。ゴーン被告のような社会的地位ある人が裁判所を裏切って国外逃亡なんて想像すらできなかったということだろう。意気消沈してい面目が丸つぶれだったのは、実は保釈をした裁判官だったのではないか。
 いずれにしろ、保釈決定や保釈条件を定めた経緯について、詳細な検証が必要だ。

馬場秀幸  カテゴリー:その他日常