雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

1月6日 遠山清彦元衆議院議員の貸金業法違反

2022.01.06

 遠山清彦元衆議院議員が、昨年12月28日、貸金業法違反(無登録営業)で起訴された。
 遠山は2020年3月~21年6月、計111回にわたり、貸金業登録を受けずに、企業からの融資希望を日本政策金融公庫に伝え、企業側に公庫の担当者らを紹介するなどして融資を仲介した。遠山は、この一連の仲介で約1000万円の仲介料を得ていた。
 貸金業法は、お金を貸したり、融資の仲介を業としている或いはしようとしている人には登録することを義務づけている。お金の貸し借りは、過剰な融資、違法な取り立てなどで被害が発生することが多く、登録を義務付けることで行政の監督をしやすくすることから、登録制にしたのである。
 今回の事件は、その仲介の件数の多さや多額の手数料収入があったことや、仲介が単に業者を公庫に紹介するだけでなく、政治家という肩書で融資の成約が多数なされたことを重く見て、「業としている」と特捜部が判断したものといえる。その意味は、政治家がその肩書を利用して貸金業という商売をしたというものである。真面目に考えればとても恥ずかしい話である。
 それだけではない。遠山が依頼をされていたのは、日本政策金融公庫が扱っていたコロナ対策のための特別融資であった。これは無利子無保証。しばらくの間は元本返済も猶予された、コロナで困窮した業者を救済する制度融資である。その融資のあっせんをしてお礼を受けていたのでは、結局、救済の趣旨が損なわれることになる。業者の困窮を利用して利をむさぼったのだから、悪質極まりないものといえる。
 口利きするのも議員の仕事というなら、せめて無償でしてほしい。

馬場秀幸  カテゴリー:その他