雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

10月13日 アフガニスタンと向き合う

2021.10.13

 アメリカのアフガニスタン撤退後、タリバンが政権を掌握したことに関連して、多くの日本のマスメデアはタリバンの人権意識を批判する。
 これに対して、朝日新聞の「アフガンと向き合う」(2021.10.13)は違う見方を提供してくれていて貴重である。

 例えば、内藤正典さん(同志社大大学院教授)は、イスラムをもとに国つくりを進めるタリバンと西欧の民主主義との間には根本的な違いがあることを指摘し、「土台が全く異なる相手を力でねじ伏せることはできない」と述べている。村上勝さん(ペシャワール会会長)も、タリバンの人権意識を批判する人は「西洋の近代的な世界観が全て正しいという前提で論じている」と批判する。
 「オレ流」の近代的な世界観が20年も莫大な資金と軍事力を投じたのににうまくいかなかったのであれば、どういう立場で向き合えばいいのだろうか?村上さんは、アフガニスタンで活動してきた中村哲さんについて「中村さんはいったん自分の物差しを置いて、現地の物差しで見ていこうといした。・・・貧困を抱え、わずかな薬を買えずに命を落としていく現実を前に何が手に入り、何が使えるか、現場でリアリスティックに考えた」、用水路建設で電化や機械化を用いず「山田堰」という伝統的技法を用いたのも、現地の物差しに会わせたからだと指摘する。
 「オレ流」を押し付けるのではなくて、大切なのは現場主義。

馬場秀幸  カテゴリー:その他