雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

11月20日 統一教会の被害者救済立法について。

2022.11.20

 政府の原案が発表された。
 大まかにまとめると、
1)寄付の勧誘に関する法人の一定の行為(①不退去、②退去妨害③勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行、④脅迫する言動を交え相談の連絡を妨害、⑤好意に乗じ、関係の破綻を告知、⑥霊感による知見を用いた告知)を禁止し、これらの行為に基づいて個人が寄付をしてしまった場合にいはその意思表示を取り消して、渡した寄付の回復を求めることができる。
2)寄付をした個人の家族も、民法の債権者代位権の特例として扶養義務等に係る定期金債権のうち期限が到来していない部分を保全するために、取消権を行使できることとする。
3)法人が寄付の勧誘をする際に、個人に対し、借り入れや個人等が居住する建物等の処分により寄付資金の調達を要求してはならない。
 というものだ。
 短期間で政府案を作りあげたことはいいのだが、その内容について、被害者や被害弁連の弁護士たちから批判されている。
 例えば、①長期間、心理状態をコントロールされ続けた結果、思考停止に陥り、困惑しているように見えない状態で高額な献金に応じてしまっているのが実態。②寄付金額に上限を設けて無効にする仕組みが分かりやすい③寄付の記録を遺していない信者もいて、寄付の事実を証明しづらい(以上、朝日新聞11月19日付)、④取り戻せる範囲が養育費などに限られるのでは金額が少なすぎるのではないか、などなど。
 個人的には寄付行為に上限を設けてもいいのではないかと思っている。
 何としても、この国会で仕上げるなんてことに固執しなくてもいいのではないか。まずは被害者や被害救済に関わった弁護士たちの話に耳を傾けるべきだ。政局などの道具にはしてほしくない。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事