雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

11月22日 統一教会に対する解散請求について その2

2022.11.22

 過去に、解散請求による解散が認められたのが2例がある。
 一つは、オウム真理教。1995年6月30日に解散請求がなされ、同年10月30日に解散決定がなされた。その後破産手続開始申立がなされ、破産手続き開始決定も出された。清算手続きは破産手続きに基づいてなされた。管財人が選任され、被害者債権者には36.75%の配当がされて終結したという。なお、その後もオウム真理教の教義を継承する団体はあるが、往時のような勢いはない。
 もう一つは、妙覚寺。水子供養を謳う霊感商法による組織的犯罪が認定され、文化庁から解散命令が請求された。2002年、和歌山地裁が宗教法人明覚寺に対して解散命令を出した。
 裁判所によって解散が決定すると、宗教団体から法人格がはく奪される。従前のように寄付を一括して法人に帰属させることもできなければ、宗教法人としての税制上のメリットも利用できない。宗教団体がなくなることはないだろうが、弱体化することは間違いない。
 岸田首相は、当初、刑事裁判で組織的な犯罪性が認定されていないと、解散理由は認められないかのようなことを言っていた。しかし、刑事事件がないのは、警察や検察が摘発しなかっただけにすぎない。統一教会の組織的な犯罪は、民事事件で多くの判決が認定している。妙覚寺事件と比較しても、解散事由は十分に認められるはずである。
 統一教会について解散請求するかどうか。政府の真剣度が問われている。

馬場秀幸  カテゴリー:その他仕事