雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

12月5日 マインドコントロール

2022.12.05

 マインドコントロールされたと言われる宗教信者の方に出会ったことはないが、それに近い方とはお会いしたことがある。
 その方は、知り合いの男性から投資話をもちかけられて自分の持ち金を数千万円もつぎ込んでしまっていた。ご家族があなたは騙されていると一生懸命諭しても、その方は聞こうとはしない。投資額がどんどん増えていっても、その知り合いの男性のもうけ話を頑なに信じ込んでいた。
 こういう場合、今までの法律は、その騙された人が騙した相手に損害を請求するほかなかった。家族がその騙した男性に掛け合っても、当事者ではないから相手にされなかったのである。
 今回の被害者救済新法は、当の本人がマインドコントロールされていて、宗教団体に返金を請求しない場合でも、家族が当人に代わって請求できるということを認めるものであり、そういう意味では画期的である。
 ただ、返還請求できる金額が少なすぎる。例えば、未成年の子であるとしたら請求できる金額は月々の養育費である。月々数万円ということだ。しかも、扶養されている人でなければ、代わって請求することすらできない。当の本人が何千万円と寄付した場合もあるのに、月々数万円というのはおかしい気がする。だからこそ、会期をまたいでももう少し慎重な審議が必要なのではないかと思う。一度立法を作ってしまうと、なかなか見直しはできないのだから。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事