雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

2月25日 まだ始めたばかりの事件ですが その5 無人契約機とネット借り入れ

2020.02.27

 昨年12月4日付の「まだ始めたばかりの事件ですが」の続き、その5です。
 私の依頼者(A、知的障害あり)が、知人(B)に騙されて消費者金融3社との間で貸金契約を締結されてしまいました。
 この3社からの借り入れを容易にした原因の一つがネットによる借り入れです。
 まず、店頭で貸金業者との社員に融資の申し込みをするのであれば、この場合、BがAの名義を借りてすることは困難です。無人契約機の場合はどうか。無人契約機もカメラが備え付けられていますから、BがAに入れ知恵をしている姿がわかれば、貸金業者も警戒して融資を認めることは困難でしょう。
 ところが、ネットの借り入れだと申し込む側の具体的様子は相手方にはまったく見えない。条件がそろっていれば問題なく貸付はしてくれるでしょう。ネットで借りる側の抵抗感が無人契約機よりも軽くなったことは間違いありません。
 それから、貸金業法で義務付けた与信審査も非常に甘いところがあります。年収の3分の1の借り入れを認めないとしながら、50万円以下の貸付については源泉徴収票などの資料要求はせず、年収は自主申告で足り、それ以上の調査を要求していないのです。
 そうすると、ネット借り入れと与信審査の省略とが結び付くと、ネットを利用して瞬時に数社からの借り入れができることになります。そして、対面での契約ではない以上、名義借りのようなことも簡単にできるようになります。ネット借り入れの普及により不正な借り入れが増加しているのではないかと思うのですが。

 

馬場秀幸  カテゴリー:仕事