雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

3月20日 高田世界館で「大コメ騒動」を観る

2021.03.20

 井上真央。「八日目の蝉」ですっかりファンになりました。NHKの寅次郎のお母さん役もステキでした。そして、今回は「大コメ騒動」の女仲仕松浦トキ役です。
仲仕というのは、船の荷の積み降ろしをする港湾労働者のこと。機械化される以前はすべて手作業でした。映画でも、女性たちが陸にある倉庫でコメ俵を背負って浜辺を歩き船のところまで運ぶ逞しい姿がありました。
 この仲仕たちが、シベリア出兵などでコメ価格が高騰し、その日食べるコメにも窮したために、団結してコメの搬出を阻止するために闘います。これが富山発祥のコメ騒動です。
 松浦トキは小さい時から勉強ができる女性でしたが、上の学校には行けず港町の漁師の家に嫁ぎます。しかし、夫は富山で漁ができない時期、北海道や樺太に出稼ぎに行く。トキは一人で姑と三人の子の生活を支えます。しかしコメの価格は次第に高騰、コメも満足に子らに食べさせてあげられない。生きるためにコメの搬出阻止に立ち上がります。女たちが始めた運動も決して単純なものではなく、コメ問屋のおかみの策略で仲間が次第に分断されていきます。裏切りもあれば赦しもある。裏切りと赦しを繰り返しながら、女たちの団結も深まっていく。それが映画の真の見どころでしょう。
 真っ黒いメイクの井上真央、俵を担いで歩く姿がカッコいい。トキの姑役に夏木マリ。化粧っけがまるでない地顔ですが、これがまた凛々しすぎてキレイです。是非、ご覧ください。高田世界館では4月2日まで上映しています。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画