雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

3月21日 高田世界館で「太陽の蓋」を観る

2021.03.21

 福島第一原発事故の激動の5日間を描いた物語。官邸と東京電力との動きが関係者の証言や報告書などによって再現されており、「ああそういうことだったのか?」「え~知らなかった」と思うことが多数。
 一番驚いたシーンは、菅直人が官邸にいたのでは情報が何もわからんということで東京電力本社に乗り込んだ時のシーン。本社では福島の発電所の現場の様子が映し出される画面があり、本社と現場とがダイレクトに連絡を取り合っていたことに菅直人が愕然とする。それまで、まったく現場の情報が官邸に伝わっていなかったからである。
 また、当時の原子力安全委員会の委員長だった班目春樹が、3月12日、菅直人に対して「総理、原発は大丈夫なんです。(原子炉は)構造上爆発しません」と述べたが、その日15時36分、1号機原子炉建屋で水素爆発が起き、「あー」と言って頭を抱えたシーンも驚きだった。
 その当時の関係者が、この過酷事故について何も想定していなかったんだということがよくわかるシーンの連続であった。
 
 上映後は、製作者の橘民義さん、元東京電力社員の蓮池さんが登壇されたトークショーがあり、お二人の話で福島原発の事故の経緯がより理解できた「気がする」。蓮池さんと橘さんは、①事故の検証もされていないのに世界一安全な「新安全基準」なんてありえない、②柏崎原発の再稼働を急ぐのは、東京電力が巨額の赤字を抱えており、その借金の返済のために電力を動かしたいだけ、③現在、原発の電力は全体の2~3%、原発がなくても十分に回っている、東京電力は土俵際まで追い込まれている、④今、日本以外の世界は再生可能エネルギーが主流になっている、日本は開発をしていないだけなのだ、などと説明してくださった。大変わかりやすかった。
 

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画