雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

4月1日 札幌地裁 同性愛者の結婚を認めない民法、戸籍法などを違憲と判断

2021.04.01

 同性婚訴訟が、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の全国5地裁で起こされている。札幌が最初の判決。
 判決が重きを置いたのは、科学的な知見だ。判決は、性的指向が性別や人種と同様、自らの意思で選択・変更できない、だから性的指向の違いのみで結婚による法的利益の一部すら享受できないのは「合理的根拠を欠く差別」である、また、同性愛が長年「精神疾患」とされてきたものの、世界保健機関が疾病分類から削除した1992年以降、科学的、医学的根拠がなくなったと認定した。
 同性愛を偏見から離れて科学の視点で冷静な分析をした判決といえる。これは、弁護団の力によるところが大きいのだろう。代理人の一人加藤丈晴弁護士は2018年に同性愛者であることを公表。最終陳述で「私たちは性的マイノリティは、その尊厳を日々傷つけられています。社会に認められないことに悩み、自ら命を絶つ者も絶えない中で、もはや待ったなしの状況です。この状況を変えられるのは、もはや裁判所しかないのです」と訴えた(週刊金曜日2021.3.26)。
 古い世代の偏見に束縛された考えをもった者に対して目を覚ましてくれるような判決である。古い世代で偏見に束縛されてきた自分がとても恥ずかしい。
 

馬場秀幸  カテゴリー:その他