雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

5月16日 入管法 ブラックボックスに光を! その1 (オーバーステイ)

2021.05.16

 ボクら弁護士(普通のマチ弁)が入管法に関わる事件は不法滞在(オーバーステイ)です。
 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して日本に在留していること(オーバーステイ、入管法24条4項ロ)が発覚すると、退去強制処分を受けるし、罰則も科される(同法70条5項など)、つまり刑事処分の対象になります。
 例えば、外国人が窃盗をしたり、或いは交通事故など警察の仕事の対象になって、オーバーステイが発覚すると警察に逮捕勾留され、検察庁から起訴されることになります。そこで、私たちがオーバーステイの件で弁護を引き受けることになる(多くは国選弁護人としてですが)わけです。
 オーバーステイは多くの事件の場合、被告人は争いようがないので、簡単に事件が終わります。ほとんどの判決の場合、執行猶予付きの判決になります。
 ただし、それで身柄が解放されるわけではないのです。判決公判では傍聴席に入管の職員が待機しています。それで判決が宣告されて刑事事件として身柄が解放されるとすぐに今度は入管が外国人の身柄を引き取っていくわけです。
 私は、最近まで、その後の外国人の処遇にまでは想いが及びませんでした。強制退去させられるんだろうなあ、かわいそうだなあ、と考えて終わりでした。弁護人と刑事被告人であった外国人との付き合いは判決宣告を受けて終わりになってしまうからです。
 しかし、実はその後の入管の外国人の収容の在り方には大きな問題がありました。これが今回の入管法改正の問題につながるのです。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事