雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

5月20日 入管法改正 ブラックボックスに光を!その5 (改正案取下げの背景)

2021.05.20

 内閣が入管法改正案を取下げた。
 今回の法案は、在留許可の特別申請を求めている者でも一定の条件が満たされれば本国に送還したり、或いは仮放免を認めるにあたって監視者をつけることを条件にする、というものだ。増加する収容者を何とか減らそうという観点からのもので、そこに収容者の人権保障という視点は感じ取れない。取下げられてとりあえずよかった。
 取下げに至った原因としては、改正案が与野党の対決法案となる中で、菅政権の支持率低下の状況で強行採決をして都議選や衆議院議員選挙に悪影響を及ぼしたくないという政権側の配慮が働いたとみるのがもっぱらである。
 しかし、そうはいっても、入管法に対する一般世論の関心度は決して高いとはいえず、成立するのだろうなあと漠然と思っていた人間からすると、今回の取下げには心底驚いた。もしかしたら、国民の意識が少しずつ変わってきたのかもしれない。たしかに、外国人は昔のように「外国」の人、少数者ではなく、どこにでもいる「隣人」「隣家」の人になりつつある。マスコミが結構一生けん命報道してくれたのも、国民の意識が変わってきたことを感じ取ったかもしれない。
 日本は外国人労働力の扶けを必要とする時代に入っている。共生のために知恵をしぼることが必要だ。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事