雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

6月17日 裁判官のツイッター投稿について

2021.06.17

 仙台高裁の裁判官が、ツイッターに不適切な投稿をしたとして弾劾裁判所に罷免の審理をされることになった。国会の裁判官訴追委員会が同裁判官を訴追することを決めた。今後、国会議員で構成される弾劾裁判所で罷免するかどうかの審理がなされることになる。
 問題となったツイッターでの投稿は、一つは、犬の所有権を巡る判決に関して、「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?」、もう一つは、殺害された女子高校生の遺族について「東京高裁事務局に洗脳された」というもの。
 このような投稿は、裁判官がする投稿としては一般人に誤解を与える表現行為でありやりすぎだと思っっている。いずれの投稿も、その内容が事件当事者に向けられたものと読めるし、事件当事者をを揶揄したものと指摘されても仕方がないだろうと思うからだ。
 国民は、裁判所に対して公正な判断を期待している。仮に裁判官が赤裸々な感情を紛争当事者に向けるとしたら、裁きを受ける当事者はその裁判官に不信感を持つだろう。そして、仮に担当していない事件であったとしても、そういうむき出しの感情は司法一般に対する不信を招くことにも繋がるだろう。
 もちろん、裁判官も一般市民としての表現の自由が保障される。ツイッターをしても一般論としては全く問題ないと思っている。しかし、裁判官という特別な立場からの限界は当然にある。特に、紛争の当事者を対象にした発言はできる限り控えるべきだろう、と私は考える。

 
 
 

馬場秀幸  カテゴリー:その他