雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

6月23日 糸魚川市副市長の幹部職員への投票依頼は一体何が問題なんだろう?

2021.06.23

 4月の新潟県糸魚川市長選で、同市の藤田年明副市長が選挙期間中、幹部職員20人程度に対し、現職候補の米田徹市長に投票するよう依頼していた。
 公職選挙法は、公務員がその地位を利用して選挙運動をすることを禁止している(公職選挙法136条の2第1項)。特定の候補者への投票依頼は当然に選挙運動に該当する。
 
 「公務員の地位を利用して」とは、その公務員の地位にあるがために特に選挙運動を効果的に行いうるような影響力又は便益を利用することと説明されている(『逐条開設公職選挙法』(ぎょうせい))。されている。副市長が公務員等の内部関係で部下である幹部職員らに対して職務上の指揮命令権、人事権、などの影響力を行使できる地位にあるのであれば、今回の場合も「公務員の地位を利用して」ということになるだろう。
 
 大分県佐伯市では今年4月の市長選を巡り、大分県警が告示前に立候補予定の現職への投票協力を市職員に依頼したとして、公選法違反(事前運動、公務員の地位利用)の疑いで副市長2人を逮捕。2人は罰金の略式命令を受けている。

 この公職選挙法136条の2の投票依頼の禁止規定は、選挙の公正を確保するためのものである。厳正な捜査と処分が求められる。

馬場秀幸  カテゴリー:その他