雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

8月12日 高田世界館で「はるヲうるひと」を観る

2021.08.12

 いい映画でした。売春宿の暗い日常生活が舞台ですけれど。生きることに少し前向きにさせてくれる、そういう映画でした。佐藤二朗さんの才能が光ります。
 映画のパンフは、こんな紹介をしています。 
 「虚ろを嘘でごまかし、地べたを這いずり回るように生き、ひたすら擦り切れていく日常。しかしそれでも口角を上げ、笑おうとし、そこから少しでも浮上しようとのたうちまわる。愛に裏切られ続けても、なおもその「愛」を希求してやまない人間たちの軌跡は問答無用で観る者の度肝を抜き、理屈を超えて旨に突き刺さり、心の奥底を突き動かす。」
 佐藤二朗さんは「僕は「負」を抱えた人間が最後、その負が取っ払われてすべてが解決してしまう構造の物語にはあんまり興味がなくて。昨日と同じく今日も相変わらず負が目の前いあるのだけれども、明日もちょっとだけ生きてみようと前を向く、そういう作品に激しくグっとくるんです。」と言ってます。
 映画の中の女性たちも、苦しい生活が楽になるわけではない、明日の生活がどうなるかさえわからない。ただ、今まで自分に自信がもてなかったさつみという若い女性が
「私、春を売る人、やってます」そう言えるようになった。
 現実の生活はそんなもので、長いつまらない日常の中でちょっとだけいいことや少しだけ変われたことがある。これが現実で、そういうちょっとした出来事に焦点をあてているからこそ、その現実に私たちは共感するような気がします。
 佐藤二朗さん、山田孝之さん、仲里依紗さん、その他の方々すべて迫真の演技でした。

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画