雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

7月25日 嘱託殺人について

2020.07.25

 刑法は自殺をした人の責任は何も規定していない。ただし、自殺に関与した他人の行為は犯罪になる(自殺関与、嘱託殺人)。
 つまり、自らが自分の命を絶つことはやむを得ないが、他の人の命を絶つことに関与することは違法である、と刑法は考えている。
 今回の医師らも嘱託殺人に問われることとなる。
 ところで。
 自殺願望がある人の助けをするのだから、違法にはならないのではないか、と考える人はいるだろうか?突き詰めていけばそういう意見もあって当然だ。
 しかし、この考え方には、自殺(自分で自分の命を絶つこと)は罪ではないということが前提になっている。この前提自体それでいいのだろうか?
 
 命はその人だけのものなのか?
 その人の考え次第で処分してしまうこともできると割り切ると考えることができるのか?
 
 今の刑法はそこまで割りきって考えてはいません。私もそれでいい、つまり、自殺することは仕方ないが、それに他人が関与することまで野放しにはできないということです。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事