雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

刑事裁判 人質司法は全然改善されていない。

2019.11.19

 今日も、刑事裁判のお話です。カルロスゴーンの弁護人の高野隆弁護士。「私が日常的にやっているような否認事件で、第1回公判前に保釈が認められるケースは非常に少ない」(高野隆・大出良知「ゴーンさんの保釈はどのように獲得したのか」季刊刑事弁護100号146頁)。
 保釈認容率は、2005年に13.8%。これが2017年になると32.5%。ただし、これは自白事件を含めた数字。2006年では第1回目公判前の否認事件で保釈が認められたケースは4%、2015年の場合には7%程度。ほとんど変わっていない(同上146頁)。
 私の実務感覚も、大体同じです。自白事件では起訴後第1回公判前の保釈は認められることが多くなりました。しかし、否認すると厳しいです。検察官立証が終わるまで保釈を認めないことが多いのではないでしょうか?身柄拘留の長期化は、被疑者被告人の生活や仕事を台無しにしてしまいます。裁判官は、もっと生身の人間の生活実態に目を向けてほしい。そう思います。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事