雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

明石順平『データが語る日本財政の未来』

2019.12.02

 今日は新幹線の車内でこの本を読みました。
 作者は1084年生まれの弁護士さんです。前著は『アベノミクスによろしく』(集英社インターナショナル新書)、アベノミクスの問題点をわかりやすく指摘した本でベストセラーになりました。今回の本もわかりやすいのですが、おそらくは日本の戦後の経済概説史としてもっともわかりやすい本なのではないかと思います。
 どうして経済学者ではなくて弁護士の概説書がわかりやすいのか?おそらくボクたち弁護士は裁判官や依頼者に自分の理解を説明する必要があります。この結論に対してはなぜそうなるのかということを常に考える。だから経済学者だったらおそらく当然すぎて素通りするところもそれなりに理由を考えながら明らかにする。これが明石さんの卓越したところです。おそらくいろいろな文献を深く正確に読み込んでいる。
 例えば国債の発行の際の表面利率が流通市場の利回りに規定されるなんてことは、考えて見れば当然のことだが、経済学者は余りそんなところは関係ないのか素通りしてしまっている。日本の経済がどのように動いてきたのかを知りたい人にはこの本を薦める。
 そればかりではない。この書は絶望的な日本の未来をデータに基づいて予測している。消費税の税率の引き上げに強硬する左派に対しても「不都合な真実」を突き付ける。将来を真面目に考えねば。そういうきっかけを与えてくれる良著である。是非一読を!

馬場秀幸  カテゴリー:書籍・映画