雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

12月18日 言った?言わない!

2022.12.18

 個人医院に雇用されていた人からの訴えだった。
 「地元の個人医院でずうっと勤めてきた。一昨年もうやめたいと言ったら、『あなたには退職金を上げるから』と言われて我慢して今日まで勤務した。今年になって医院を閉めるというので、退職金の話をしたら、『そんな約束した覚えがない』と言われた。私は、退職金の支払いをしてもらえないのでしょうか?」
 私は、就業規則或いは医師との契約書で退職金の合意があれば請求できるが、口約束だけでは言った言わないの話になり、裁判に訴えても無理ですねえ、と答えた。約束は言葉だけでは争われたとき、立証ができない。立証するためには紙に書いておくことが必要である。だから、就業規則とか契約書とかが重要なのだ。
 しかし、その人は、答えを聞いても納得しない顔をする。それもそうだ。素人は、相手がウソをつくなんて思わないし、紙の証拠がないと不利益だということを知らないのである。
 法律は平等だけれど、法律の知識を知らない人と知っている人とでは大きな違いが出てくるのである。どうしたら、こんな不利益を受けてしまう人を少しでもなくすことができるだろうか?いつもそんなことばかり考えている。

馬場秀幸  カテゴリー:仕事