雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

3月23日 無罪判決は、突然、天から降ってくる贈り物のようなものである。残念ながら。

2020.03.23

 今日は争っていた刑事事件の判決公判だった。幸いにも無罪判決をもらうことができた(関係者が多数おられるので事件の内容は書きません)。
 過去にも一度無罪判決をもらったことがあるので、今回は二度目です。
 拙い経験ですが、刑事事件の場合、弁護人が事件の見通しに無罪という確信があってももらえるものではありません。それは、理念としては「無罪推定」が働くはずなのですが、裁判の現場では残酷にも「有罪推定」が働くからです。だから、無罪という確信があっても、判決で有罪宣告されることはたびたびあります。だから、依頼者である被告人には、判決の見通しを聞かれても、弁護士的には「無罪」間違いないが、裁判官は「有罪」というかもよ、とまったく説得力のない見通しを伝えるしかないのです。高名な刑事弁護人であれば別なのでしょうが、街弁であるボクには弁護士経験が20数年になっても自信のない言い方しかできないのです。
 つまり、弁護士は無罪に向けて努力することは当然としても、いくら努力をしても報われる確証がないのです。判決日を迎えても、無罪だなどと確信して法廷に臨む弁護人なんてなかなかいないと思います。だからこそ、「被告人は無罪」と言われたときの喜びは簡単には言葉に言い表せません。努力して努力してそれでも報われないことがある。だから、無罪判決というのは突然天から降ってくるような偶然の賜り物のように思います。残念ながら。
 

馬場秀幸  カテゴリー:仕事