雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

8月3日 スッカスカの申立書 その2

2022.08.03

 もう一つ理由がある。
 依頼者(女性)には離婚に至るまでの経緯をメモに書いてほしいと伝えていたのだがなかなか書いてくれない。打ち合わせの時に問いただしてもなかなかうまく話せない。そうこうしているうちに時間だけが過ぎていく。スッカスカでも仕方がないかって感じで申立せざるをえなかった。
 では、彼女の離婚の動機が「スッカスカ」であるかというと、決してそうではない。質問をすればそれなりに拙い言葉を言ってくれる。その言葉は拙いけれども、自分の脳みそをそれなりに振り絞って吐き出したものであることは、彼女の仕草や表情をみればわかる。彼女の受けてきた体験が壮絶であっても、彼女はそれを言語化することにすごく時間がかかるのだ。
 マチ弁だったら、こんな体験よくあるだろう。
 つくづく思うが、学校の教育で一番重要なことは自分の体験や考えたことを表現する力を身に着けさせることではないだろうか。表現する力は、自分の身を守るために不可欠なのである。
 

馬場秀幸  カテゴリー:仕事